普通の理学療法士が疫学とデータサイエンスに曝露されるブログ

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肝疾患と理学療法

こんばんはー。

 

臨床での疑問も踏まえて、今日は肝疾患と理学療法との関連についてまとめていこうと思います。

 

近年、肝疾患患者の高齢化や非アルコール性脂肪肝炎やアルコール性など生活習慣に起因する肝がんや肝硬変患者が増加傾向にあるようです。

また、サルコペニアが肝疾患の予後に影響を与えるとも報告されています。

これらのことから、従来の原因治療や安静臥床が第一選択といった考え方だけでなく運動療法や食事療法の重要性が問われています。

 

 そもそも、先述した通りサルコペニアが肝疾患の予後に影響を与えるとのことでしたが、病態の特性上、慢性肝疾患による代謝異常からサルコペニアを引き起こすリスクが高まるようです。

 例えば、肝硬変を引き起こした場合、サルコペニアの要因としては以下のことが考えられます。

 ・摂食不良(アルコール依存や腹水による)

 ・食欲低下(代謝・ホルモン異常、投薬、肝性脳症、炎症性サイトカインによる)

 ・低栄養(糖新生能の低下、タンパク必要量の増加による)

 ・筋蛋白異化の亢進(ロイシンの欠乏、テストステロンの欠乏、炎症性サイトカインに           よる)

 ・消化・吸収障害(消化管運動・腸内細菌の異常)

 

 また、日本肝臓学会サルコペニア判定基準は、

 https://www.jsh.or.jp/files/uploads/Figure_sarcopenia.pdf

 こちらでチェックしてくださいませ。

 

 

次に、

運動療法については大きく2つの考え方に分けられるようです。

 

脂肪肝などの原因治療としての運動療法

 

②慢性肝疾患に対しての進行予防や予後改善のための運動療法

 

では、①に関して

 脂肪肝などメタボリックシンドロームに起因する場合は少なくとも週あたり10エクササイズ(METs×時間)以上の有酸素運動が推奨されています。

 有酸素性の運動であるならば、ウォーキングや自転車エルゴメータ、ジョギング等いずれの種目でも効果の差は認められていないとのこと。運動時のエネルギー消費量を少しでも高めるよう実践することが重要なようです。

 また、低強度運動の方が、運動脂肪燃焼率が高いため、低強度運動を推奨している場合が多くありますが、高強度運動を行った場合は、運動後の脂肪燃焼率が高まると言われています。

 とりあえず、内臓脂肪減らしたいなら運動を継続するしかないみたいです。

 

次に、②に関して

 あんまりエビデンスが無いのが現状のようです。

 現在のエビデンス上では、

  C型慢性肝炎患者に対し、3か月間以上の食事・運動療法を行った場合、インスリン 抵抗性の改善やその危険因子とされるαフェトプロテイン(AFP)の低下を認めたとされ ている。

  AFPは発がんリスクの因子でもあるため、発がんリスクの低下の可能性も示唆され ている。

 

  肝硬変患者に対し、BCAAの補充+AT pointの運動を週140分目標にステップ台昇降 運動を自宅で12か月行った場合、ATや平均血糖の指標である糖化アルブミンが有意に 低下したと報告されている。

  このことから、肝硬変患者であろうと安全に運動療法は遂行可能で、有酸素運動能 が改善することが示唆されている。

  ※注意点 

   肝機能低下に伴い、低アルブミン血症やタンパク不耐の状態の場合、過剰な運動  負荷が蛋白異化の亢進につながる可能性があるため栄養療法との併用が不可欠。

 

以上、本日の内容でした。

内部障害はホントにリハ対象疾患の幅が広がってますね~。

まだまだ、不明確なことが多いようなのでこれからもっと調べていこうと思います!

 

 

 

参考資料

www.jstage.jst.go.jp

www.jsh.or.jp

www.ncbi.nlm.nih.gov

www.ncbi.nlm.nih.gov